遊星からの物体X ファーストコンタクト

■※グロ注意■Cool Movie Monsters – The Thing (2011)

「遊星からの物体X」を初めて見たの中学生くらいの時で、こんなグロい映画を普通に地上波で放送していた。
昔はとても大らかというかその辺は無頓着だったんだなと思ってしまう。

シベリアンハスキーの顔がバックり割れて、ぎょう虫みたいなのがピュンピュン吹き出してきたと思ったらゴキブリの足みたいなのがバキバキ生えてくる。
このシーンを見ただけでトラウマになった人は多いんじゃないでしょうか。
宇宙から来た物体Xが生物の細胞を複製し同化していく、その過程がグロテスクというかVFX担当の奇才・ロブ・ボッティンの手腕が無ければこの映画が成功しなかったと思う。
この「遊星からの物体X」の続編が2011年にアメリカで公開。日本ではいつ公開されるのかとやきもきしていたが、やっと8月に公開。
しかし残念なことに九州では福岡の映画館でしか公開されないと知るや、がっくりしてしまった。
ところが1ヶ月たった所で天文館シネマパラダイスで一週間限定で公開されると知るや狂喜乱舞した。
さっそく見に行ったんですけど、やっぱりというか当然というか1982年版を越えることはできなかったなぁ~と思ってしまった。
CGをあまり使わずVFXにこだわったのは評価しますがロブ・ボッティンの手作り感による生々しさが失われて恐怖心が半減してしまった。
それに脚本が前作と被っているところが多数あり二番煎じ感が強かった。
誰が物体Xに同化されているか分からない状態での深層心理に深く分け入った人間ドラマをもっと見たかったなと思う。
ただ色々、突っ込みどころが多かったですが合格点を付けてもいいんじゃないでしょうか。

この映画、実はグロい所ばかりが強調されていますが物体Xを思想や宗教に置き換えてみますと日常にある出来事のように感じます。
原理主義やナチズム、マルキシズムやマインドコントロールにより人の心を特定の主義主張に同化されてしまう。
その時、同化されたことを他人は分かりません。
もしかしたら自分自身も形而上学的には何かに同化されているかもしれません。
「遊星からの物体X」は空想の世界の出来事とは思えない見えない世界を物質的に見える世界へと具現化した希有な作品の様な気がします。